東京学芸大学附属図書館の望月文庫や日本近代教育史資料等の特別コレクションには、江戸時代から明治時代にかけて出版された「往来物」と称する庶民向けの教育・実用書や、絵双六などの資料が多数所蔵されています。平成24年度は、「近世における学びと遊び-往来物と絵双六を中心に-」として、「古典文学作品の受容」「子どもの学びと遊び」「作者と絵師」という視点から、特別コレクション資料の展示を3回にわたって行いました。
第2回目は「子どもの学びと遊び」というテーマで、錦絵、絵双六、往来物等を中心に21点の資料を展示しました。
「Ⅰ 子どもの学ぶ姿」では、往来物等の挿絵によって寺子屋で子どもたちがどのように学んでいたのかを見ていただきます。年長者に補助されながら声に出して「読み」、筆を使って「書く」ことが子どもたちの重要な学習であったことが分かります。「Ⅱ 子どもの遊び」では子どもの遊んでいる姿と、おもちゃとして趣向の凝らされた絵双六を展示しました。「Ⅲ 学ぶこと生きること」では江戸時代の子どもの教育に大きな影響を与えた書籍を展示しています。「Ⅳ 子どもが学んだ本」では往来物の数々と、子どもの学びの様子を題材としている絵双六を展示しました。
江戸時代の子どもたちが生き生きと学び、遊んでいた姿を見ていただくとともに、子どもたちがどのような教材でどのような内容を学んでいたのか。そして大人たちが子どもの教育にどのような形で関わっていたのか。これらの資料を通して実感していただければ幸いです。
(監修:黒石陽子 [本学日本語・日本文学研究講座教授])