学芸大版「りんごの棚」~読書は誰でも楽しめる!~

2022/07/04
会期
2022年5月2日(月)~6月30日(木)
会場
図書館1階ラーニングコモンズ内つみ木ばこ
問合せ先
附属図書館 サービスカウンター
参考資料
Document

学芸大版「りんごの棚」~読書は誰でも楽しめる!~

特別なニーズのある子供たちを対象とした資料を集めた「りんごの棚」をテーマに展示を行いました。

「りんごの棚」はスウェーデンの図書館が始めたもので、知的障害や自閉症、視覚障害などを持つ子供達でも楽しむことができる資料を集めた本棚のことを指します。今回の展示では東京学芸大学附属図書館が所蔵するそれらの資料を集めて「学芸大版りんごの棚」を作りました。展示した資料は、点字付きの本や手話の本・DVD、布絵本、大活字本、LLブック、マルチメディアデイジー(関連書のみ)です。LLブックは本学教員である平田正吾先生(総合教育科学系発達障害学分野)に選定をお願いしました。また「りんごの棚」の資料に加えて、特別支援教育分野の本学教員おすすめ本も展示しました。


【目次】

  1. りんごの棚
  2. その他の展示資料
  3. 附属特別支援学校での授業実践の紹介
  4. LL版図書館利用案内

  参考資料


 

1. りんごの棚

LLブック

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学芸大版「りんごの棚」~読書は誰でも楽しめる~

LLブックの”LL”とはスウェーデン語の「Lättläst」の省略。英語では「easy-to-read」、日本語では「やさしく読める」といいます。知的障害や自閉症、読み書き障害などを持ち、一般の書籍を読むことが困難な人でもよめる理解しやすい本です。文字だけではなく、絵や写真、ピクトグラムなども理解の手助けとなっています。

今回、展示を行うにあたり古本募金を利用して、LLブックを約20冊ほど購入をしました。購入するLLブックの選定は、本学教員である平田正吾先生(総合教育科学系発達障害学分野)に行っていただきました。

 

【平田先生より】

「流通での仕事や、一人暮らしの仕方、バスの乗り方や地震の際の避難など、社会の中で暮らしていく上で重要な事柄を当事者が理解する上で、LLブックは重要な情報源になりうると考えましたので、そうした内容についてのものを、まず選びました。また、当たり前のことではありますが、知的障がいなどがある方も私たちと同じように、社会の中で暮らし生活していることを、学生にも実感してもらうために、特に社会生活に関わるものを選択しました。」

 

本コーナーでは、平田先生のおすすめポイントを記載したPOPとともにLLブックを展示しました。

点字の本・さわる絵本

 弱視者が触って読むことができるように点字を使って作成された本を展示しました。その資料の中に「さわる絵本」と呼ばれる本も選びました。「さわる絵本」は、絵本に描かれた絵の輪郭に透明な凹凸がついており、目が見える人でも見えない人でも楽しむことができる絵本です。

 

【さわる絵本】

 

他にも関連書籍として、点字について学べる本も展示しました。

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点字の本

 

布絵本

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布絵本

布絵本とは、布やフェルトで作成されており、触って楽しめる絵本です。貼ってはがせるマジックテープや、ボタンをかけたりはずしたりして、手で触って楽しめる仕掛けがついたものもあります。
幼児のおもちゃとしても使え、手作りすることもできます。

本展示では、布絵本の作り方の本を展示しましたが、実物の布絵本がなかったためその作り方の本を参考に、当館職員が実際に布絵本作りにチャレンジしました!

布絵本制作風景を図書館公式Twitterで公開しましたので、ご興味のある方は下記リンクからご覧ください。

 【東京学芸大学附属図書館】布絵本チャレンジ!
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手話の本・DVD

手話は、聴覚に障害がある人がコミュニケーション言語として使用します。

本展示では、紙芝居を手話によって楽しむことができるDVDを展示しました。日本昔話や童話などよく知られている話を紙芝居で楽しめます。手話を勉強中の方にもおすすめです!

DVDは館内利用のみになりますので、ご利用の際は、DVDを持ってカウンターまでお越しください。

この他にも、関連書籍として手話を学べる本も展示しました。

 

参考:手話ビデオ・DVDの紹介

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手話の本

 

大活字本

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大活字本

大活字本とは、通常の本の文字よりも大きな文字で印刷した本のことです。文字の大きさが大きくなっただけで、内容は変わりません。

通常、文庫本の文字の大きさは9~10ポイントですが、大活字本の文字の大きさは12~22ポイントと見やすくなっています。

同じタイトルの通常の本と大活字本を並べて展示をし、実際に文字の大きさを見比べられるような展示にしました。

 

【大活字本リスト】

 

マルチメディアDAISY図書・教科書

 マルチメディアDAISY(Multimedia Digital Accesible Information Systemの略)とは、文章の読み上げ機能を持つ電子書籍です。読み上げている部分をハイライトする機能があるため、文字を読むことが難しい読み書き障害のある人、知的障害のある人でも本を読むことができます。絵も多く使われているため、内容も理解しやすくなっています。

 加えて、「教科用特定図書普及促進法(教科書バリアフリー法)」の施行と「著作権法第33条の2」の改正により、教科書をデジタル化した「マルチメディアデイジー教科書」が製作できるようになりました。現在は、日本障害者リハビリテーション協会を中心に23のボランティア団体が「マルチメディアデイジー教科書」の提供に取り組んでいます。

 本展示では、関連書籍を展示しました。資料紹介ボードにはサンプルにアクセスできるQRコードも載せています。また、現在はデジタル教科書にも音声読み上げ機能や速度調整、白黒反転などの機能がついています。実際に機能を体験したい方は1階ラーニングコモンズ「デジタル教科書コーナー」でデジタル教科書をご覧いただくのもおすすめです。

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マルチメディアデイジー

 

2. その他の展示資料

特別支援教育分野の先生おすすめ本

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特別支援教育分野の先生おすすめ本

 本学教員のうち特別支援教育系を専門とする先生方に特別支援教育を学ぶ上で学生におすすめしたい本を選んでいただきました。また、先生方のおすすめポイントもPOPとして本とともに展示しました。

 

【ご協力いただいた先生】※五十音順

  • 澤 隆史 先生(総合教育科学系 発達障害学分野)
  • 平田 正吾 先生(総合教育科学系 発達障害学分野)
  • 増田 謙太郎 先生(教職大学院)
  • 村尾 愛美 先生(総合教育科学系 特別支援教育教室)
  • 村山 拓 先生(総合教育科学系 特別ニーズ教育分野)

 

ご協力誠にありがとうございました!

 

スウェーデンの特別支援教育に関する本・特別支援教育に関する法律の本

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スウェーデンの特別支援教育に関する本

「りんごの棚」発祥のスウェーデンの特別支援教育に関する本を集めて展示しました。

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特別支援教育に関する法律の本

特別支援教育に関する法律の本を集めて展示しました。 

 

3. 附属特別支援学校での授業実践の紹介

 実際に学校現場では、「りんごの棚」にあるようなLLブック、布絵本などの資料はどのように活用されているかについて東京学芸大学附属特別支援学校の事例を3つ紹介しました。

 

【事例】

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附属特別支援学校の授業実践例

 

4. LL版図書館利用案内

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LL版図書館利用案内

 

図書館の利用案内を「やさしく」作った「LL版図書館利用案内」を作成し、通常の利用案内とともに自由に持ち帰れるようにしました。

LL版図書館利用案内の原案は近畿視覚障害者情報サービス研究協議会が作成した「LL版図書館利用案内『ようこそ図書館へ』」のA4サイズを使用しました。

 

 

 

以上が展示の概要になります。ご覧いただきましてありがとうございました!

なお、学芸大版「りんごの棚」はラーニングコモンズ内奥の壁面の棚に常設コーナーとして設置することが決定しました。こちらもぜひご覧ください。

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常設「りんごの棚」
                         学芸大版「りんごの棚」(常設コーナー)