資料紹介 ~新春 七福神めぐり絵合わせ~

2025/12/03
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七福神めぐり絵合わせバナー

 

新春 七福神めぐり絵合わせ」で使用した、東京学芸大学附属図書館の所蔵資料についてご紹介します 

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馬年のまなぶんぶん

 

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恵比寿 

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恵比寿

 この恵比寿は、当館所蔵の往来物『寺子調法記』(文化5年)に登場します(下の画像の赤い囲み部分)。

 恵比寿は、豊漁や商売繁盛、五穀豊穣をつかさどる神とされ、烏帽子をかぶって釣竿と鯛を持つ姿が特徴として挙げられています。本書でも、このような恵比寿の姿を確認できます。

※往来物とは、江戸時代に読み、書き等の学びに用いられたとされる初等教育書です。

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寺子調法記 ( テラコ チョウホウキ terako chohoki )

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寺子調法記
解説

 本書は、複数の内容を合本した形態をとる往来物です。本文(下段)には、「実語教」「童子教」「今川了俊愚息仲秋制詞條々」「腰越状」「商売往来」が掲載されています。また、頭書(上段)には筆の持ち方(「筆を取へき次第の事」)や京都の町名(「京町小路」)、九九(「九々の声」)、証文の書き方などが掲載されています。

 『往来物解題辞典』によれば、本書は安永5(1776)年に京都で初版が刊行され、幕末まで版を重ねた江戸時代後期の代表的な合本形態の往来物であり、頭書等に京都の町人の子弟の学習に合わせた内容をまとめるのが特徴であるとされています。 

※恵比寿の登場するのは2コマ目の画像です。

書誌事項
菊屋善兵衛 刊, 文化5(1808)年
望月文庫 T1A0/82/4

大黒天 

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大黒天

 この大黒天は、当館所蔵の絵双六『玉尽年玉寿古六』(嘉永頃)に登場します(下の画像の赤い囲み部分)。

 大黒天は、五穀豊穣や商売繁盛などをつかさどる神とされ、頭巾をかぶり、福袋をかついで、打ち出の小槌を持ち、二俵の俵の上に立つ姿が特徴として挙げられています。本資料では、絵双六のマスの見出し「まゑ玉」に合わせ、大黒頭巾をかぶり、福袋の代わりにお正月飾りである繭玉(まゆだま)をかついでいます。この繭玉は小判と共に打出の小槌が付いた形で描かれています。

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玉尽年玉寿古六 ( タマズクシ トシダマ スゴロク tamazukushi toshidama sugoroku )

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解説

 本資料は、「しら玉」「おて玉」「大目玉」など、玉のつく事柄を集めた飛び双六です。「ふり出し」にはシャボン玉売りと子供たちの姿が描かれ、「上り(あがり)」の見出しは「御年玉」となっています。

 飛び双六は、各マスにサイコロの目の数に合わせた行先が示されます。サイコロを振って、指示のある場所に「飛び」ながら上りへの到達を競って遊びます。

書誌事項
一鵬斎芳藤画
辻岡屋文助 刊, 嘉永頃
双六コレクション Su94

福禄寿

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 この福禄寿は、当館所蔵の往来物『新童子往来万世宝鑑』(享保17年)に登場します(下の画像の赤い囲み部分)。

 福禄寿は子孫繁栄や延命長寿などをつかさどる神とされ、長い頭で髭を蓄え、杖や宝珠をを持つ姿が特徴として挙げられています。本書では、宝珠を持つかわりに、宝珠柄の衣を身に纏う姿で描かれています。

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新童子往来万世宝鑑 ( シン ドウジ オウライ バンセイ ホウカン shin doji orai bansei hokan )

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解説

 本書も複数の内容を合本した形態をとる往来物です。本文(下段)には「商売往来」「庭訓往来」「実語教」「童子教」が、頭書(上段)には「曽我状」「今川了俊愚息仲秋制詞條々」「初登山手習教訓書」「熊谷送状」「御成敗式目」などを掲載しています。本文前にも「天神経」「小野篁哥字尽」「七伊呂波」などが掲載され、一冊にして、盛沢山な内容となっています。

 『往来物解題辞典』によれば、本書は享保17(1732)年に大坂で初版が刊行されたようです。元禄11(1698)年刊行の『童子往来綱目』に「商売往来」を加えて享保1(1716)年に刊行された『童子往来富貴宝蔵』を被せ彫り(※※)にした本文に、「小野篁哥字尽」を加えて改題したもので、内容の変更を伴いながら版を重ねて非常に広く普及した、江戸時代中期の代表的な合本形態の往来物とされています。

※福禄寿が登場するのは3コマ目の画像です。

※※被せ彫り:本を作る際、既に出版された本の本文を版木に貼り付け、これを彫って版木を作ること

書誌事項
鳥飼市兵衛ほか刊, 享保17(1732)年
望月文庫 T1A0/81/5

毘沙門天

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毘沙門天

 この毘沙門天は、当館所蔵の往来物『大全新童子往来』(慶応4年)に登場します(下の画像の赤い囲み部分)。

 毘沙門天は家内安全や延命長寿、立身出世などをつかさどる神とされ、甲冑に身を包み、右手に宝棒もしくは三叉の鉾、左手に宝塔を持つ姿が特徴として挙げられています。本書では毘沙門天の右半身が書名を記した見出しから覗く構図となっており、右手に三叉の鉾を握る姿が描かれています。

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大全新童子往来 ( タイゼン シン ドウジ オウライ taizen shin doji orai )

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解説

 本書も複数の内容を合本した形態をとる往来物です。本文(下段)には「商売往来」「和俗制作の字:日本にて作りし字也」「立春書物詩歌」「七夕之詩哥」「庭訓往来」「実語教」「童子教」「江戸往来」を掲載しています。本書は頭書(上段)や本文前(巻首)にも絵入りで多様な記事を掲載し、目次でその一覧を確認できます。本書の画像は147コマに渡り、ボリュームのある一冊であることを実感できます。

 本書の書名については、表紙見返しの扉に『大全童子往来百家通』ともあります。『往来物解題辞典』によれば、天保8(1837)年に刊行後、嘉永5(1852)年および慶応4(1868)年に重版、明治1(1868)年に再版され、江戸時代後期を代表する大坂で刊行された合本形態の往来物とされています。

※毘沙門天が登場するのは2コマ目の画像です。

書誌事項
暁鐘成[纂校並画図], 龍章堂[文章並巨書], 浦辺昭[註説並細書]
敦賀屋九兵衛ほか 刊, 慶応4(1868)年
望月文庫 T1A0/81/1

布袋尊、弁財天

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布袋尊

 この布袋尊は、当館所蔵の往来物『新童子往来万寶大全』(寛政4年)に登場します(下の画像の赤い囲み部分)。

 布袋尊は七福神の中で唯一実在した人物(禅僧)であると言われています。家庭円満や商売繁盛などをつかさどる神とされ、笑顔で、布袋をかつぎ、大きなお腹のふくよかな姿が特徴として挙げられています。本書でも、こうした布袋尊の姿を確認できます。

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弁財天

 この弁財天は、同じく当館所蔵の往来物『新童子往来万寶大全』(寛政4年)に登場します(下の画像の赤い囲み部分)。

 弁財天は、七福神の中で唯一の女性の神で、学問や諸芸上達をつかさどるとされ、琵琶を持つ姿が特徴として挙げられています。本書でも、こうした弁財天の姿を確認できます。

※本書では、弁財天の左隣りにもう一人女性が描かれています。こちらは吉祥天と考えられ、長い頭をもつ寿老人と福禄寿を同一人物と捉えて七福神とする考え方に基づいています。このほか、七福神に吉祥天を加えて八福神とする考え方もあるようです。

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新童子往来万寶大全 ( シン ドウジ オウライ バンポウ タイゼン shin doji orai bampo taizen )

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解説

 本書は寛政4(1792)年に大坂で刊行された、複数の内容を合本した形態をとる往来物です。前書同様に、本文(下段)、頭書(上段)、前付(本文前記事)等に多様な記事を掲載し、非常にボリュームのある一冊となっています。本文(上段)には、「新今川童子教訓條々」「商売往来」「改正小謡百五十番」「庭訓往来」「実語教」「童子教」「江戸往来」「年中往来」「近江八景」「瀟湘八景」「立春書初之詩歌」「七夕之詩歌」を掲載しています。

 本書は七福神の図として、カードに取り上げた図(4コマ目)のほか、宝船の図(25コマ目左側)、恵比寿と大黒天による万歳の図(169コマ目左上)を掲載しています。

※カードに取り上げた布袋尊と弁財天が登場するのは4コマ目の画像です。

書誌事項
敦賀屋九兵衛ほか 刊 寛政4(1792)年
日本近代教育史資料 T1A0/81/19

寿老人

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寿老人

 この寿老人は、当館所蔵の往来物『実語教』(天保5年)に登場します(下の画像の赤い囲み部分)。

 寿老人は、延命長寿をつかさどる神として、長い頭に黒い頭巾を被り、豊かに髭を蓄え、杖をつき、鹿を連れている姿が特徴として挙げられています。本書では、長い頭に黒い頭巾を被る姿が描かれています。

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実語教 ( ジツゴキョウ jitsugokyo )

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解説

 本書は元の表紙が失われ、「実語教」と記されていますが、内容、書肆、刊行年から『教訓 道外実語教(きょうくん どうけじつごきょう)』と考えられます。 

 『往来物解題辞典』によれば、教訓的内容を取り扱った滑稽本であるようです。本文(下段)として「実子教」「寿福心得種」を掲載し、「実子教」は往来物の「実語教」をもじるような形で衣食住の倹約などの生活上の心得を解いているとされています。

 本書の冒頭部分を比べると、「実語教」に「山高故不貴(やまたかきがゆへにたつとからず)」とあるところを、本書の「実子教」では「米高故多不食(こめたかきがゆへにたんとくはず)」としています。

※寿老人が登場するのは2コマ目の画像です。

書誌事項
森屋治兵衛 刊 天保5(1834)年
望月文庫 T1A0/21/6

宝船

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 この宝船は、当館所蔵の絵双六『新板志利取双六』(明治20年)に登場します(下の画像の赤い囲み部分)。

 宝船の絵は、江戸時代には、枕の下に敷くと縁起の良い初夢が見られるとされ、親しまれていたようです。本資料にあるように、帆掛け船に七福神が乗り込む絵柄のほか、多様な絵柄があったようです。

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新板志利取双六 ( シンパン シリトリ スゴロク shimpan shiritori sugoroku )

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解説

 本資料は、題名にあるように、しりとり歌を題材とした廻り双六です。「ふりはじめ」には「ぽたんに唐獅子」と見出しがあり、これに続く言葉として「竹にとら」と記され、牡丹の花と唐獅子が描かれています。「上り(あがり)」には、左に三番叟姿の子ども、右に獅子舞姿の子どもが描かれています。

 本資料に取り上げられたしりとり歌は、諸説ありますが、幕末頃に作られたとされ、七・五調のリズムを持ち、「牡丹に唐獅子 竹に虎」からはじまり、「虎をふまえて 和藤内」…と続き、最後は「つなぐかもじに 大象とめる」で終わります。本資料は一マスごとに七・五の一フレーズを収め、振り出しから上りまで続けて読むと、全文を追うことができます。資料によって本文に若干の異同がありますが、このしりとり歌の全文は、綿谷雪 著『言語遊戯の系譜』(青蛙房・1964)や、尾原昭夫 著『東京のわらべうた:日本わらべ歌全集7』(柳原書店・1979)等でもご覧いただけます。

書誌事項
一鵬斎芳藤 画
児玉又七 刊 明治20(1887)年
日本近代教育史資料 798/UTA

参考文献