平成17年度 絵双六の世界 ~遊びと学習美(まなび)~

2021/03/01
会期
平成17年11月1日(火)~11月6日(日)
 平日 9:00~17:00 土・日・祝日 11:00~17:00
会場
附属図書館1階閲覧室
入場料
無料
参考資料
Document

今年度も、附属図書館が所蔵する貴重なコレクションをご紹介する所蔵資料展及び講演会を開催します。また今年度は本学学生ボランティアによるワークショップも同時開催します。
 今回は絵双六を取り上げ、昔の子ども遊びについて紹介します。

●講演会 「絵双六の世界」

講 師:     黒石陽子助教授(本学日本語・日本文学研究講座)
日 時:     平成17年11月1日(火) 14:00~15:30
会 場:     附属図書館3階AVホール
※<入場無料>

講演内容: 全文

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ワークショップのようす

●ワークショップ 「昔の子ども遊びの体験」 

日 時:     平成17年11月3日(木)、5日(土)、6日(日)
会 場:     附属図書館1階閲覧室
内 容:     本学学生ボランティアによる、昔の子ども遊びを実体験 するワークショップを開催します。
※<入場無料>

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チラシ

展示資料一覧

擬文字道中雙六 ( なぞらえもんじどうちゅうすごろく )

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擬文字道中雙六
解説

五十三次の地名をすべて「なぞらえ文字」と呼ばれる文字絵で表した単彩の廻り双六。「なぞらえ文字」は江戸の風流人や洒落気のある画家の頓智(とんち)として一般にも好まれた趣向。地名を示す文字で、その土地にふさわしい光景や名物を巧みに表している。

[一躰舎分身作 光斎芳盛画 48×72cm]

新版狂歌江戸花見雙六 ( しんぱんきょうかえどはなみすごろく )

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新版狂歌江戸花見雙六
解説

江戸の桜の名所を桜の種類とふさわしい狂歌とともに並べた廻り双六。振り出しと上りはともに「日本橋」となっており、方々名所を廻りながら江戸中の花見を楽しむことができる。迷路のようだが、道順をわかりやすくするために、枠には二重線と一重線を使い分ける工夫がなされている。

[春農屋作 岳亭画 文政8(1825)年 鶴屋喜右エ門版 51×75cm]

大日本六十餘州一覧双六 ( だいにっぽんろくじゅうよしゅういちらんすごろく )

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大日本六十餘州一覧双六
解説

扇面の一つ一つには、松前、伊豆、加賀などの国名とその国に縁のある小説や芝居の登場人物、あるいは物などが細かく描かれている。東西南北をつけた画面上に69枚が重なり合うように集まって日本地図になっている。振り出しは「武蔵」、上がりは「山城」。サイコロの目の数によって指示されたマスへ移動する飛び双六。濃い青色の地にたくさんの役者絵がちりばめられた様は、装飾的にも美しい。

[山々亭有人案 一鶯斎国周画 慶応3(1867)年 木屋宗次郎版 60×71cm]

春興手習出精雙六 ( しゅんきょうてならいしゅっせいすごろく )

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春興手習出精雙六
解説

「弟子入りいろは」を振り出しとし、天満宮を上りとする飛び双六。「庭訓往来」「商売往来」「女今川」など手習いの手本や「破門」「褒美」「席替」など寺子屋の諸相をマスとして取り上げ、それぞれに関連した挿絵と句を添えている。

[広重画 弘化4(1847)年 49×37cm]

新版春遊子寳雙六 ( しんぱんはるあそびこだからすごろく )

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新版春遊子寳雙六
解説

子ども火消しを振り出しとし、福引きを上りとして子どもの様々 な遊びを31マスにわたって描いた廻り双六。「こをとろことろ」「十六むさし」のように今は珍しい遊びも多い。伝統的な子どもの遊びを伝えている。

[守川周重(音次郎)画 明治年間 小林鉄次郎版 37×50cm]

世界巡り双六 ( せかいめぐりすごろく )

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世界巡り双六[仮題]
解説

右上の「阿蘭陀(おらんだ)」から始まり、中央の「漢土(から) 北京府(ほくきんふ)」まで四十二か国のマスをめぐる廻り双六。それぞれの国について説明文を付けて主に人物絵を示している。その内容は、現実の世界情勢に基づいた部分と、逸話や空想に基づく部分とが混在しているようである。

[52×73cm]

小學尋常科高等科修業壽語録 ( しょうがくじんじょうかこうとうかしゅぎょうすごろく )

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小學尋常科高等科修業壽語録
解説

「尋常科一年級」を振り出しとし、「卒業証書授与式」を上りとし て、46マスにわたって小学校生活の各場面を示している廻り双六。小学校の尋常科、高等科のシステムがよく分かり、勉強の科目や心得も具体的に理解できる。

[香朝楼国貞画 明治24(1891)年 牧金之助版 49×71cm]

教育勅語雙六 ( きょういくちょくごすごろく )

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教育勅語雙六
解説

教育勅語奉読式を振り出しとし、上りは神武天皇の征伐を描いた場面になっている。中央に教育勅語を配し、各マスはそれぞれ教育勅語の徳目になっている。各マスにはそれぞれ徳目に沿った絵と説明が書かれ、例えば「兄弟に友に第二」では毛利元就の三本の矢と似た話を示すなど、よく知られたエピソードを用いて分かりやすく説明している。

[下河辺半五郎立案 明治24(1891)年 金港堂書籍会社版 70×98cm]

單語の圖壽古呂久 ( たんごのずすごろく )

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單語の圖壽古呂久
解説

授業で使われた掛図を想定した単語図。振り出しの「糸・犬」か ら中央の「鰻・金魚」まで94のマスをめぐる廻り双六。資料としても興味深く、絵双六の教育性が生かされている。

[73×49cm]

小學校大運動會雙録

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解説

「縄飛」「綱引」「障害物競争」「二人三脚競争」「ボート競争」など運動会の競技がマスになっている。また「調練」というマスがあったり、上りが「軍歌唱歌」となっているなど、軍事的色彩も感じられる双六である。なお、せっかく上りまで来ても、サイコロの目が余ればその余った数に応じてまた双六の途中のマスに戻されるようになっている。

[明治36(1903)年 清水泰五郎版 49×73cm]

明治少年雙六 ( めいじしょうねんすごろく )

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明治少年雙六
解説

巌谷小波が少年少女のための出版を続けた博文館の雑誌『少年文集』の付録。入学を振り出しとし、及第・賞品を上りとする廻り双六。各マスには「体操」「算術」「遠足」など学校生活の各場面を取り上げている。遊ぶ際「日曜」「休暇」のマスでは休むなど、学校生活を身近に感じる工夫を施している。

[巌谷小波案 武内桂舟画 明治31(1898)年 博文館版 78×54cm]

小學教科雙六 ( しょうがくきょうかすごろく )

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小學教科雙六
解説

『少女世界』新年号(第2巻第1号)の附録。登校を振り出しとし、退場を上りとして学校生活の一日を追う形になっている。各マスは教科ごとの授業風景や学校行事の様子などが描かれている。また、「休みの時間」「休日」「日曜」というマスもあり、そのマスでは一回休みとなり、宿題と書いてあるマスでは一回振り直して二回目のサイコロの目で進むようになっている。

[小波案 国観画 明治40(1907)年 博文館版 78×58cm]

少年歴史地理雙六 ( しょうねんれきしちりすごろく )

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少年歴史地理雙六
解説

雑誌『少年世界』17巻1号(明治43年12月発行)附録。 「東京」を振り出しに「鎌倉」「名古屋」「関ヶ原」「京都」「熊本」「台湾」「平壌」「川中島」「函館」「樺太」「日光」など28マスを巡って「宮城(皇居)」を上がりとする廻り双六。地名と歴史上の事件や所縁のある人物を組み合わせ、遊びながら地理や歴史の知識を身につけられる、教育色の濃い双六になっている。

[小波案 国観画 明治43(1910)年 博文館版 54×79cm]

俳優力士睦合雙六 ( はいゆうりきしとりくみすごろく )

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俳優力士睦合雙六
解説

当時、人気を博した歌舞伎俳優と力士の取り組みを趣向とした丸型の双六。役者も力士の姿で描かれている。袋の裏側には遊び方が書いてある。呼び出しを振り出しとしてサイコロの目に従って左へ順にくるくる廻り、「○上がり」とあるマスで丸印に示された目がでれば上がることができる。行司の所に止まれば「あずかり」、呼び出しの所では「引き分け」として1回休み。また、上がった人にはご祝儀としてお菓子をあげるというのも正月の遊びらしい

[梅堂国政(竹内栄久)画 明治17(1884)年 神山清七版 73×72cm]

女子家庭双六 ( じょしかていすごろく )

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女子家庭双六
解説

衣服をあらためる場面を振り始めとして、婚礼を上りとする飛び 双六。嫁入り前の上流階級の女子が見につける教養や作法が各マスになっており、一種の出世双六とも言える。

[明治31(1898)年 牧金之助版 74×73cm]

二十四時家庭雙六 ( にじゅうよじかていすごろく )

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二十四時家庭雙六
解説

『婦人世界』新年号(第7巻第1号)の附録。「開門」(5時)を振り出しに、上りは「おやすみなさい」(10時)まで、二十四時間の家庭生活を示している。各マスには時刻を示した時計が描かれ、その時刻における家庭生活の有り様を描いている。各マスの主人公は主婦の女性で、三人の子どもと夫、舅姑、お手伝いさんの家庭を切り盛りしており、当時の中流家庭の模範的な一日の過ごし方を示している。

[川端龍子画 明治45(1912)年 実業之日本社版 55×78cm]

新案南極探檢飛行機雙六 ( しんあんなんきょくたんけんひこうきすごろく )

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解説

『日本少年』新年号(第6巻第1號)の附録。振り出しは「東京」「ベルリン」「ロンドン」「ニューヨーク」と4つあり、そこから飛行機で上りの「南極」に向かって競争する双六。各マスは「万里の長城」「ヴェスヴィアス火山」など世界の名所を描いているが、「墜落」「修繕」「旋風・暴風」といった事故の起きるマスもある。なお、双六の左端には切り取って使うための飛行機が付いている。

[日本少年編輯局考案 明治44(1911)年 実業之日本社版 55×79cm]

流行車盡し廻り雙六 ( りゅうこうくるまづくしまわりすごろく )

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流行車盡し廻り雙六
解説

「大炮車」を振り出しならぬ「くり出し」とし、「御所車」を上りとする廻り双六。文明開化の新技術による車に加え、江戸時代或いはそれ以前から使われていた車も取り上げている。一部のマスには登場人物の会話なども書き込まれ、遊びながらその場面を楽しむことができる。

[一立斎広重画 明治3(1870)年 土橋政田屋版 50×74cm]

大日本物産雙六 ( だいにほんぶっさんすごろく )

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大日本物産雙六
解説

「畿内」を振り出しに、国内各地の名産品やその生産の様子を描いた全75マスからなる回り双六。上がりは皇国物産会社の洋館である。袋には洋式の馬車が描かれ、文明開化の息吹が感じられる。上がりのマスには「一つあまれば函館、二つあまればつしま(対馬)...」とあり、サイコロの目の数に従って廻り進み、ぴったりの数でなければ上がれないという遊び方がうかがえる。

[歌川(立齋)広重(安藤徳兵エ)画 明治11(1878)年 遠山久出版 61×73cm]


参考文献

  • 『幕末・明治の絵双六』加藤康子, 松村倫子 国書刊行会, 2002
  • 『双六(すごろく)』吉田修ほか 文渓堂 2004
  •  双六ねっと http://www.sugoroku.net/lib/index.html