【協働プロジェクト報告】魔法のぐるぐる読書会in東京学芸大
1.イベント概要
▼テーマ:社会に開かれた教育課程
▼イベントの目的
①新学習指導要領のキーワードである「開かれた教育課程」について考えを深める。
②子どもに読書の魅力を伝える手段・授業を知る。
③自分も読書の魅力に気づく。
学校を取り巻く課題について、本を使って考えました。新学習指導要領の前文の一部には
「教育課程を通して、これからの時代に求められる教育を実現していくためには、よりよい学校教育を通してよりよい社会を創るという理念を学校と社会とが共有し、(中略)社会との連携及び協働によりその実現を図っていくという、社会に開かれた教育課程の実現が重要となる」
とあります。いま、教員には難易度の高い能力が求められると感じています。そこで、学校や教員はもっと社会と「連携及び協働」していくことが求められています。そこで、「社会に開かれた教育課程」をテーマに自分たちにできるようなことを考えました。
▼日時
2018年 4月 26日 (金) 18:00~20:45 (17:30受付開始)
▼参加者数:13人
2. イベントの大まかな流れと内容 (ア) 本を検索(15分ほど) 今回のイベントのテーマは「社会に開かれた教育課程」でした。そのテーマを考えるにあたって、図書館の中を巡ったり、主催者があらかじめ用意していた図書館の30冊ほどの書籍の中から選んでもらいました。ほとんどの参加者は実際に図書館の中を歩いて本を探していました。
(イ) 本を読む 自分が見つけた本を実際に読んでみました。2分という短い時間で、自分の選んだ本が大まかに何が書いてあるかを目次などを使って把握しました。 (ウ) 本についてプレゼン 短い時間の中で把握した本の内容を1分間でテーブルの中でプレゼンをしました。2分で読んだ本について「社会に開かれた教育課程」についてどんな側面から考えているかを説明したり、疑問点についてシェアしました。
(エ) 本の中から著者(本の内容でも)への質問探しをする プレゼンをしたのち、自分の本の中身をめくって、気になるところや疑問に思う点をブレインストーミングしていきました。気になるところは付箋に書いて、別紙に貼り、本に挟んで記録しました。
(オ) 本を交換して、他人が選んだ本の質問を探す グループで全員が全員の本から質問探しをするように、本を交換しながら進めました。はじめに、本の内容についてはプレゼンをしているために、大まかにどのようなことが書いてあるのかは把握しているという前提のもと本を読んで質問探しをしました。3巡くらいすると、自分より前に読んだ人の質問が紙にたまっている状態になり、本にどのような内容が書いてあるかがよりわかるようになっていました。 (カ) 質問の優先順位をつける 本を回して、自分の選んだ本が戻ってきたらその書いてある質問に優先順位をつけて並べ替えをします。優先順位だけでなく、似ている質問同士をくっつけたりしている参加者の方もいました。 (キ) 質問の答えを探し、共有するしワードジャングルにする 質問について考えることやその質問自体について考えたことをシェアしていきました。それを、他に聞いている人がキーワードにまとめて付箋に書いていきます。その付箋を机の上に無造作に並べていき落ち葉が落ちているジャングルのようにしていきました。
(ク) それぞれのテーマについて解決策を模索する 今回のテーマである「社会に開かれた教育課程」のために自分たちができることは何か、を考えるにあたってその解決策をワードジャングルの中からキーワードを集めてストーリーを作っていきました。それぞれのチームで選んだ本が違ったため、それぞれのチームのアウトプットが違うものになりました。校内、校外、などセクターごとにステークホルダ―に分けて、どんな形があるのかを考えました。
(ケ) それぞれのチームのアウトプットを共有する。 それぞれのチームで出てきたアウトプットについて代表者がプレゼンをしました。「社会に開かれた教育課程」についてそれぞれのチームの考え方をシェアしました。参加者の方からは「人と価値観が違うから考え方を広げることができました。キーワードベースでしか言葉が出ていなかったために、それから紬出すストーリーの違いを感じ、よりテーマについて考えが深まりました」という声がありました。
3.活動の成果
本イベントの成果としては、テーマにおける知識を得ることができただけでなく、本の内容をもとに議論したり考えるというプロセスそのものを参加者の方が学ぶことができたことにあると思われます。 また、今回のイベントでは、イベント参加後いそれぞれのネクストステップを立てることを目標にしていました。今回のイベントの学びをその時だけのものにせずに、今後の生活や成長につなげるように考えることができていました。
また、本学の学生だけでなく現職の教員の方や他大学の学生も参加されていたために、そこでの新しいつながりがあったことは開催者として非常にうれしいことでした。本学の学生の特徴として、大学の外にあまり出ないため外とのつながりに乏しいと感じています。その課題を打開するための一つの策としてのこういったイベントを位置づけることができるのではないかと考えてます。
本イベントは団体でのイベントではなく、個人のイベントであるために、ポータルでのイベント告知をしていただけたことは、参加者獲得に非常に助けになりました。また、当日のプロジェクターやペンなどの機材を図書館側で用意していただけたことも助かりました。運営上個人であるためにそういったものの用意はハードルが高かったため、今後も個人単位で行うイベントに対してはそういった支援があると、開催に対しての障壁は多少下がるのではないかと感じています。
また、今回のイベントでは「読書会」という分類のイベントだったため、教育学部付属の図書館で行うメリットを最大限に生かすことができたと考えています。テーマに沿う書籍を大学図書館から探し、それを読んで議論したため、そういった本を事前に用意することができたのは非常にメリットだったと思います。さらに、書籍の探し方、選定の仕方についても専門的な知識のある方にアドバイスをいただきながら進めることができたのも、イベントの質を高めるにあたって非常に重要だったと考えています。
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企画・実施者:
北岡樹(A類社会科4年)
塚本忠行(ファシリテーター)
協力:附属図書館ラーニングコモンズ協働プロジェクト